ワクチンに関する質問と回答

 

Q.  一般のがん患者がワクチン接種や、今後のコロナウイルスとともに生きていく生活の中で気をつけた方が良いことを教えてください。

A. がんの患者さん、特に白血病などの患者さんは免疫機能が低下していると言われています。また、治療で、化学療法、放射線療法、骨髄移植、などを受けて免疫を抑制されている方は、ワクチンの効果が弱いという結果が他のワクチンでわかっています。ただ、免疫機能が落ちている場合、感染すると重症化しやすい、また変異株が出現しやすいことが知られますので、効果が多少落ちるといっても、ワクチンの効果が期待はできるので、ワクチン接種が強く勧められます。生ワクチンではないので、免疫が低下している方でも接種できます。

いつ接種していいのかというのは、化学療法、放射線療法、骨髄移植など免疫力に影響を与え治療とのスケジュール調整が必要で、これは個々のケースによるのでタイミングについては主治医によく相談することが不可欠です。

また、治療だけでなく、検査も然りです。現在のところ、CTスキャンなどの画像診断でがんと炎症を区別するのが難しいことがあります。ワクチン接種でリンパ節が腫れたりするので、がんと混乱しないように検査を控えている場合、タイミングの相談が必要です。

ワクチンの効きが不十分である可能性もありますので、引き続きマスク、社会的距離、手洗いなどの感染対策が考えられますが、どの程度のリスクがあるかは個々のケースによります。ただ引き続き、コロナウイルスがまだ蔓延している状況なので人ごみを避ける、などのリスク回避のための感染対策は引き続き必要でしょう。

 

Q. 集団免疫についての引用元のURLが先ほど掲載されていました。そちらのリンクだけ改めて教えていただくことはできますか?

A. スペースの関係で全ての参考文献を引用しておりませんが、以下の資料を参考にしています。

https://ccdd.hsph.harvard.edu/2020/12/17/covid-19-vaccines-and-herd-immunity/

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2772167

https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2773575

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)32318-7/fulltext

https://www.nature.com/articles/d41586-021-00728-2

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2769703

https://www.nature.com/articles/d41586-020-02948-4

 

集団免疫のフィギュアは、コロナ特異的なものではないですが、PATHのものがわかりやすかったのでこれを引用しています。

https://www.path.org/articles/understanding-journey-herd-immunity/

 

 

Q. これまで各ワクチンで得られている有効性は、これまでのCDCの勧告のマスクをしている状況での有効性かと思いますが、今後マスクをする必要がなくなり、一方で多くの人々がワクチンを接種した状態で、ワクチンの有効性はどのように推移すると考えられますでしょうか?おそらく学校もマスクが必要なくなる状況になると思いますので、マスクをしない場合の感染状況がどのようになると想定されるか確認させて下さい。

A. 学校では、ワクチンを接種していない学童のリスクは今まで同様あるので、ワクチンを接種していない学童は引き続き今まで通りの感染対策をするということになると思います。ワクチン接種をしていない人が一斉にマスクを外す場合、リスクは上昇する可能性はありますが、これはCDCのガイドラインには沿っておりませんので、学校でもその点対策を充実させる必要が出てくると思います。

ブレイクスルー感染の追跡結果を見る限り、現状だとワクチンの効果はかなりあると考えられます。感染の機会が多くなれば、有効性が高いワクチンでも数%の人は効きが悪く防御が十分できないので、ワクチンの有効性が変化するというよりは感染の機会がますことで感染してしまう機会が増えるということかと思います。

ワクチンの有効性にそれよりも大きな影響を与えるのは変異株です。今の所、少し有効性は落ちるとはいっても効果はあるのですが、変異株が広がると1ヶ月ほどで地図を塗り替えるほどの威力があり、ワクチンの効きにくいものが出てくる可能性もあります。この場合、感染者も増える、ワクチンの効きも悪いということで、CDCの長官はこの危険性が増してきたらまたマスクの着用に逆戻りするかもしれないと発言しています。ワクチン接種を促してパンデミックを終わらせて、変異株にチャンスを与えないということが当面の目標かと思います。

 

Q. 7歳、5歳、1歳の子供がいます。この子達に対する対策って今後何かありますか?いまのところワクチンは12歳以上の接種なので。

A. 6か月―11歳のお子さんの治験は今まさに行われており、予定としては9月までに5歳以上が承認されるかも&それ以下も2021年内には承認されるのではないかと言われております。それまでは3密を避ける、手洗いをする、室内ではマスクをする、大人がワクチンを接種して同居者の感染リスクを減らすなどの対策をしましょう。

一番効果がある予防は周りの大人がワクチン接種することだと思います。イスラエルで大人がワクチンを接種することによって子どもの感染を減らせたという結果があります。

         

Q.  ワクチン接種の中長期的なスケジュールとして、最初に接種してから、更に一年後や数年後に、改めてワクチンを打つ必要が出てくるものでしょうか?例えば、インフルエンザワクチンは年に一度程度打っているため、同じような心構えが必要なのか知りたいものです。よろしくお願いいたします。

A. ワクチンの効果の長期的な効果のデータがないので、この秋ぐらいの状況を見てみないとわからないのですが、ワクチンの効果の持続が1年で弱くなったりした場合、また持続していても新しい変異株に対応する必要が出るなどで3回目の接種の可能性はあります。

ワクチン接種による抗体の持続が1年で弱くなる場合には追加接種が必要になりますが、これはまだ判明していません。

おそらく、パンデミックは終わらない場合、インフルエンザのように新しい変異株が常に出現すると、それに効くワクチンを使った追加の免疫が必要になる可能性はあります。コロナウイルスの活動は10月ぐらいに増えてきますので、その辺りでCDCが判断して接種が必要になる状況は考えられますので、アナウンスに留意されてください。

現在の変異株に対応した新しいワクチンは、ファイザーやモデルナなどが開発しており、3回目の接種の治験も進行中ですので、データが蓄積されて3回目の意義などが判明してくると思います。

 

Q.  異なる種類のワクチン接種につきまして。J&Jワクチンを接種した方が、数か月後、モデルナ、あるいはファイザーのワクチンを接種する場合、機序の違いによる有害反応はあるのでしょうか?

モデルナ、ファイザーのワクチンを接種した方が数か月後、J&Jワクチンを接種した場合についても御教示頂けましたら幸いです。

A. 現在のところ、ワクチンを接種した場合、追加接種の必要はありませんが、モデルナ、ファイザーのワクチンを接種した方が重度のアレルギーで2回目が接種できない場合にJ&Jを接種しています。ただし、データは乏しいので効果や副反応についてははっきりとは言えません。

アストラゼネカのワクチンが接種中止された時にヨーロッパでアストラゼネカの後ファイザーという組み合わせをした場合がありますが、熱や痛みなどの副反応が多少大きくなったという報告があります(Shaw, Lancet, 12 May 2021)。ただし、この組み合わせで抗体は産生されて効果はあるようです(Callaway, Nature, 19 May 2021)。

長期的やまれで重篤な副反応に関しては、数が少ないので現在のところ不明ですが、目立った有害事象は報告されていません。

基本的に、どのワクチンもスパイクタンパクを作ることで抗体の反応を促す、またどのワクチンも最終的には分解されてしまうので、時間を経過した後で、組み合わせによる有害な事象は可能性としてはあまりないと思います。

現在、イギリスで進んでいる違うワクチンを混ぜた治験mix-and-match (vaccine interchangeability) COVID-19 vaccine booster trialなどの結果が出れば、副反応などについて詳細な結果が出て新しい情報が出てくる可能性があります。

アデノウイルスベクターのワクチンを接種した場合、そのワクチンを包んでいるウイルスに対する抗体も産生されるため、次回より同じウイルスを使用したワクチンや遺伝子治療を受けると効果が弱くなる可能性があるので覚えておく必要はあります。

 

Q.  どのような場合に 2回目のワクチン の接種を遅らせた方が良いと思われますか? 接種を遅らせる場合はどのくらいまで遅らせることができるのでしょうか?

A. コロナウイルスに1回目接種後に感染してしまった、など、また他の理由でやむをえず接種できない場合でも、CDCでは、有効性に関するデータが少なくないことから、遅くとも6週間以内の接種を勧めています。やむを得ない場合を除いて、規定通りに打つのが勧められております。ただ、80歳以上の高齢者で、ファイザーワクチンの接種を12週間開けた方が抗体反応がむしろ高いという報告 (Parry, medRxive, May 17, 2021)が出ているので、多少遅れても効果はあると考えられています。また、アストラゼネカワクチンは12週間あけた方が効果がむしろ高い (Clemens, Lancet, March 6, 2021) とも言われています。ただ、限られた人数の話なので、有効性のデータが豊富な規定通りの接種が勧められます。

 

Q.  12歳のお子さんを持つ知人が、大人と子供が同じ量のワクチンを受けることで、ワクチン接種することを躊躇しています。その点、アドバイスをお願いします。

A.  ファイザー、モデルナ ともに認可前の治験で色々違う量を検討したり、安全性を確認してから許可が出されているので、ワクチンの量としては、12歳とはいっても対応できる量だと考えられます。

ワクチンの効果や副反応は、量を増やしてもそのまま比例して増加する訳ではなく、どちらかというと頭打ちになります。逆に、少なくして効果が出ない方がデメリットもあるため、認可されている量で接種を受けることのデメリットはベネフィットに比べると小さいでしょう。

ラットの実験でも人間の体重と比べると相当な量のmRNA量を注入されてますが、特に何も悪影響は報告されておりません。

         

Q.  ご回答ありがとうございました。もう1点ご回答いただけますと幸いです。

          副反応についてです。副反応で発熱があった場合、胎児への影響はないでしょうか?また発熱した際にタイレノールなどの解熱剤の服用は胎児への影響はありますでしょうか?

A. 妊娠中の発熱にはタイレノールは服用されて大丈夫です。Ibuprofenは避けて下さい。

 

Q. J&Jやアストラゼネカ製のようなアデノウイルスを利用したワクチンの場合、ウイルスベクターの情報がヒトゲノムへ挿入されることによる影響に関して何か報告はありますか?また、子供を作る上において重要な生殖細胞のゲノムへのウイルスベクターの挿入など知られていますか?

A. アデノウイルスは、もともと感染した細胞の遺伝子に入り込む力はありません。ワクチンのウイルスは増殖できないように工夫されている上に、筋肉に注射した、増殖できないように工夫されているワクチンに使われているウイルスが、生殖細胞までたどり着くのも難しいと考えられています。

これまでもエボラ出血熱のワクチンなどで1歳以上の小児にも使用されている技術ですが、これまでのところどのタイプのアデノウイルスを使ったワクチンも、新型コロナワクチンも、宿主の遺伝情報に組み込まれたという証拠は見つかっておりません。

 

Q.  現在1歳半の子に授乳中ですが、ワクチンを接種する場合授乳を続けるリスクがあるなら授乳を辞めようかと考えているのですが、内田先生は授乳中の子どもへのリスクも妊娠中と同じく極めて低いとお考えでしょうか。それとも、断乳しても差し支えないならば断乳した方が安全なのでしょうか?

A. 授乳中のワクチン接種の安全性は懸念されておりませんが、ワクチン接種しコロナから身を守ってくれる抗体を作ることで、その抗体が母乳を通って、子どもにも移行します。なので、子どものためにもなるので、断乳する必要はありません。

 

Q.  妊娠早期12週未満は胎児の器官形成期で薬等に対する感受性が高いことが知られていますが、コロナワクチンの作用機序を考慮しますと、妊娠早期に接種しても問題ないと理解しました。その理解でよろしいでしょうか。それともデータが限られているため、念のため12週以降に接種した方がよろしいでしょうか。

A. 作用機序を考慮しても、動物実験の結果を見ても、器官形成期にこのワクチンが影響を及ぼすことは報告されていません。実際アメリカの妊婦さんで接種された方のデータでも、12週までに接種された方でも流産などが起こる確率は一般率よりもワクチン接種した方の方が低かったです。妊娠早期でも接種して大丈夫です。

もしご自分として、自然流産などが起きてしまった場合、ワクチンのせいだと思ってしまうのではないかとご心配でしたら、器官形成期を避けてもいいかとは思います。その場合は、3密を避けて、マスク、手洗い、また同居者の方々が接種するなどという対策を続けて、妊娠中の感染を避けるようにして下さい。

 

Q.  来年度のワクチンを受ける時は他社のワクチンを受けることは可能でしょうか?今年度打った会社のものを引き続き受けるほうがいいのでしょうか?

A. ワクチンに限らず薬の認可は、治験の効果や安全性に基づいてなされるので、現時点では同じ会社のワクチンだけを使用した治験をしており、おそらくファイザーを受けた方はファイザーという形になる可能性が高いです。イギリスで進んでいる違うワクチンを混ぜた治験mix-and-match (vaccine interchangeability) COVID-19 vaccine booster trialなどの結果が出れば、副反応などについて詳細な結果が出て新しい情報が出てくる可能性はあります。

原理的には、どのワクチンを使っても切り出し方は多少違いますが、スパイクタンパクができるだけですので、どのワクチンを受けても基本的に反応は大体同様と考えられます。ワクチン自体とスパイクタンパクはそのうちに分解されて抗体だけが残ると考えると、組み合わせに不合理があるということは原理的には低いと思いますが、この秋に3回目のワクチン接種がある場合、CDCのガイドラインに注視する必要があります。

ただし、J&Jワクチンを打っている場合、アデノウイルス26というワクチンを運ぶウイルスにも抗体ができているので、次に打った場合には効きが悪くなるので全く同じワクチンを使うと効果が低くなることが知られています。ただし、これは既知の問題ですので、2回目があるとすると違うアデノウイルスを使ったワクチンなどで回避するなどの工夫が取られる可能性はあります。自分がどのワクチンを接種したかをよく覚えておく必要はあります。

 

Q.  ワクチンを摂取完了した大人二人と、12歳未満のワクチンが打てない子と日本に一時帰国するのは、安全上問題ありますですしょうか?

A.  ワクチン接種された大人二人と、接種されていないお子さんですと、感染するリスク、移してしまうリスクはゼロではないですが、相当低いです。移動中と日本にいる間はできる限り3密をさける、手洗いを頻繁にする、マスクをするという感染対策をして下さい。


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