特別支援教育 

Special Education

連邦法「障がいのある個人教育法」(IDEA: Individuals with Disabilities Education Act, 2004)

この法律について米国議会は以下のように述べています:

「障がいは人間としての経験の自然な部分であり、個人が社会に参加したり貢献したりする権利を決して損なうものではありません。 障がいのある子どもたちの教育成果を改善することは、障がいのある個人の機会均等、完全な参加、自立生活、経済的自給自足を確保するという国の政策の不可欠な要素です。」

障がいのある個人教育法 IDEAとは https://sites.ed.gov/idea/about-idea/


マサチューセッツ州の特別支援教育

上記連邦法のもと、障がいをもつ児童生徒はできる限り制約の少ない環境で障がいを持たない同年代の仲間とともに教育を受け、学校は児童生徒のニーズと個別的状況に合う適切な教育を無償で提供するとしています。MA州の公立学校もこれに沿った特別支援教育を行っています。

マサチューセッツ州教育省公式ホームページ 特別支援教育 https://www.doe.mass.edu/sped/

児童生徒に医学的診断が出ている場合、差支えなければ診断書をマサチューセッツ州の学校に提出することを推奨します。和文の診断書ならば英文の診断書を書いてもらいます。医学的診断が出ていなくても、何か気がかりな事があればなるべく早くに学校へ連絡します。さらに主治医に相談してみましょう。学校がチームを編成し児童生徒にアセスメントを行い、その結果とニーズを見極めてサービスにつなげてゆきます。


個別教育プログラム IEP (Individualized Education Program)

特別支援教育の必要性が認められると、教員、専門家チーム、保護者、児童生徒本人(14才以上の場合)とともに個別教育プログラム  IEP (Individualized Education Program)が作成されます。当該児童生徒のニーズや状況にそって学校内での具体的な特別支援と実施プランを決め、振り返りや修正をくわえながらチーム全体でゴールの達成に向けて努力します。

IEP (Individualized Education Program) Program)の内容

マサチューセッツ州教育省 特別支援教育 個別教育プログラム IEP https://www.doe.mass.edu/sped/iep/default.html


IEPの内訳

教科や学内活動の大まかなゴールとその達成のための具体的な目標(一年内に達成可能な目標)を立てるために、以下の方向からアプローチします。児童生徒の個人情報、保護者の憂慮や展望・目標、児童生徒または保護者の1~5年内のおおまかな目標、具体的な特別支援、 児童生徒の状況に合わせた調節。アプローチの仕方(例えば能力に応じた学習内容の調整、休憩時間を取り入れる、補助教材を増やすなど)、支援の提供方法(サービスの頻度と期間)、通学(登下校)サービス(特別なバス、モニター等)。MCAS(3~10年生が受験するMA州の標準テスト)や、ACCESS for ELLs(K-12年生までのELE/ESL/ELL児童生徒の英語習熟度をはかる標準/アセスメントテスト)の受験上の特別支援配慮、ポートフォリオの提出をMCASに代替するか等の検討、クラス配属・プレースメント、その他の教育的なニーズ。


504プラン

診断が出ていても学習内容の変更や修正などの特別支援は必要としない、いっぽう学校生活を送る上でサポートや環境調整が必要など、個別的なニーズのある児童生徒、学生(MA州では3才~22才まで)は504プランの申請ができます。学区によっては特別支援教育でなく、学校カウンセラーが対応窓口になります。

MA州教育省 米国障がい者差別禁止法第504条について

Section 504 and the American with Disabilities Act https://www.doe.mass.edu/sped/links/sec504.html


IEP作成チーム

IEPの作成にあたる主要なメンバーは以下の通りです。学区や学校、ケースによって構成員は異なります。

親権を持つ保護者、児童生徒の普通教育を担当する教員(少なくとも1名。例:担任、教科担任、Literacy/Math specialists、 ELE/ESL/ELL教員など)、特別支援教育教員(少なくとも1名。Special educatorと呼ばれる特別支援教育の担当教員)、特別支援教育プログラムを認可する権限を持つ特別支援教育プログラムの代表教員(1名。特別支援教育チームのチーフマネージャーの役割を果たす教員)、児童生徒の査定の結果を的確に伝えられる特別支援教育スペシャリスト(例:作業療法士 (OT)、理学療法士 (PT)、言語聴覚士 (SLT)、心理学者(Pshycologist)、カウンセラー(Counselor)など)。さらに必要に応じて、通訳者(Interpreter)が加わります。通訳の手配は学校側が行うので必要な場合は事前に申し出ましょう。公立学校の場合は通訳費用も学校側が負担します。


参考資料

コロナウイルス(COVID-19) の感染拡大で授業がリモート、対面あるいはハイブリッドとなりました。対面に戻った今もなお、学習生活が不安定で影響を受けている児童生徒はまだ多いと思います。特別支援が必要な場合は、さらに大きな課題ではないでしょうか。そのような方々に役立ちそうな情報をJBLineがまとめました。

特別支援教育のお子さんをもつ保護者の方へ COVID-19 影響下の学校で心配なことがありますか?(2021年2月)


(以上 2023年4月現在)