アメリカでの妊娠・出産
アメリカでの妊娠・出産
1.アメリカでの妊娠準備
2.産婦人科医の選び方
3.検診
4.両親学級
5.出産
6.出産後
1.アメリカでの妊娠準備
アメリカで妊娠を希望している方は、まず自分の加入している保険がどの程度妊娠・出産をカバーしているのか確認しましょう。保険により、自己負担割合や、選べる産婦人科医が変わってきます。(妊娠・出産時の健康保険についてはこちら→リンク)
アメリカで、排卵検査薬は「Ovulation test」、妊娠検査薬は「Pregnancy Test」といい、両方Amazonや薬局(CVS、Walgreensなど)で買うことができます。見た目が非常に似ていますので、ご注意ください。
妊婦は妊娠週数によって、国内線・国際線に乗る際に診断書の提出が必要な場合や、医師の同伴が必要となる場合があります(航空会社により異なりますが、出産予定日を含め28日以内の場合は診断書、14日以内は医師の同伴が必要な場合が一般的です)。また、妊娠経過によっては、上記妊娠週数に達していなくてもドクターストップがかかる場合もあります。駐在や学業、またはその帯同でアメリカに滞在されており、日本に帰国されるご予定のある方や、日本で出産を希望される方はご注意ください。
2.産婦人科(Obstetrics and Gynecology(OB/GYN))の選び方
アメリカで妊娠がわかったら、まず産婦人科を予約します。英語で産科はObstetrics(OB)、婦人科はGynecology(GYN)であり、一般的にOB/GYNと表記されます。
産婦人科は、以下の観点から選ぶと良いでしょう。
①自分の保険ネットワークに入っているか
自分の入っている保険により、受診できる産婦人科医も変わってきます。受診を希望する産婦人科医が保険のネットワークに入っているか、保険会社に確認しましょう。詳細はこちらをご覧ください→妊娠・出産時の健康保険リンク
②どこの総合病院と提携しているか
アメリカでは一般的に、妊婦検診は産婦人科医のクリニックで受けますが、分娩する際はそのクリニックと提携している総合病院にて分娩することが多いです。分娩する総合病院の自宅からの距離や、設備、出産時のサービス等を確認しておきましょう。
③日本語が通じるか、通訳が入るか
英語が苦手な方は、日本語が通じる産婦人科医だと安心です。また、英語の通訳をつけることもできます。
ボストン地域で日本語対応をしている産婦人科はこちら→JB Lineイエローページ/医者(主治医・専門医)
3.検診
産婦人科医予約後、アメリカの初診はだいたい妊娠8週目くらいで、日本よりも遅めです。その後、1か月に1回程度の定期健診があり、妊娠28週からは2週間ごと、妊娠36週からは1週間ごとの検診があります。
一般的に、超音波検査(ultrasound)は日本のように毎回あるわけではなく、妊娠経過に問題なければ、8週目前後、13週目前後、20週目前後の3回程度しかありません(8週目前後、20週目前後の2回のところもあるようです)。また、産婦人科医のクリニックではなく、超音波検査専門のクリニックで受けることもあります。
8週目前後 胎児の数・出産予定日の確認のため
13週目前後 ダウン症有無等遺伝性疾患の確認のため
20週目前後 胎児の全身・臓器の発達、母体の胎盤の位置の確認のため
アメリカでは、出生前診断が保険適用であり、受けるのが一般的です。出生前診断では、性別・遺伝子疾患(ダウン症等)の有無が確認できます。受けないこともできますし、性別の告知を受けないことを選択することもできます。
4.出産に向けた準備
アメリカには母子健康手帳に該当するものはありません。将来的に日本に帰国を予定されている方は、予防接種の記録等のため、母子健康手帳をつけられると良いかもしれません。日本の母子健康手帳は、紙の手帳・PDF・Appと種類があり、それぞれ以下の通り手に入れることができます(2023年2月現在)。自分の好みや生活スタイルに合わせて選んでみてはいかがでしょうか。
①紙の手帳
日本語の紙の手帳は、ボストン総領事館窓口で無料で入手することができます(ただし、数に限りがあります)。また、国内発送限定・有料ですが、「風間書房」の通販サイトで購入することもできます。(通販サイト→【販売代行のお知らせ】20年をつづる母子健康手帳(2022年版))
日英併記版の母子手帳は、紀伊國屋書店のウェブサイトにて購入することができます。(紀伊國屋書店ウェブサイト→https://united-states.kinokuniya.com/bw/2010085000909)
②PDF
現在、母子健康手帳は厚生労働省のウェブサイトよりPDFで無料ダウンロードすることが可能です。自分でファイルしてお使いになる方は、こちらをご利用ください(厚生労働省ウェブサイト→母子健康手帳について |厚生労働省)
③App
現在、多くの団体がApp版の母子健康手帳をリリースしていますので、ウェブで検索しお好みのものをダウンロードできます。
病院で両親学級が開催されていることが多いので、積極的に参加してみましょう。日本語での両親学級も開催されています→母親(両親)学級のお知らせ
クリニックを通じ、保険会社より搾乳機を無料・格安でもらうことができますので、クリニックに確認してみてください。
アメリカでは、生まれてから数日~1週間後に小児科医の検診を受ける必要があります。出産が近づいてきたら、近郊の小児科医を探しておき、出産前には産婦人科医に伝えておくようにしましょう。小児科は、①自分の保険ネットワークに入っているか、②分娩先の病院まで見に来てくれるか、③新規患者を受け付けているか、④家からの距離の近さ、⑤どこの総合病院と提携しているか、⑥日本語は通じるか(日本語対応している小児科医についてはこちら→JB Lineイエローページ/医者(主治医・専門医))等を考慮して選ぶとよいでしょう。事前の説明会・面談を行っている小児科もありますので、参加してみるのも良いでしょう。
上記のとおり、アメリカでは出産後すぐ小児科医の検診を受ける必要があるため、出産前に子どもの保険への追加については保険会社(会社を通じて保険に入っている人は会社の保険担当者)に確認しておきましょう。
アメリカでは、新生児にカーシートを装着する義務があります。出産後、新生児を連れて病院から自宅に帰る際も必要となりますので、事前に購入しておきましょう。
5.出産
分娩は産婦人科医のクリニックと提携している総合病院で行われることが一般的です。妊娠中期・後期になると、分娩する病院の設備等を紹介するツアーがあることもあります。
一般的に、帝王切開以外は自分の個室で分娩が行われます。事前の病院ツアー・両親学級等で、出産の流れについて確認しておくと安心です。
陣痛が起きた際の移動手段については、事前に考えておくようにしましょう。日本のような「陣痛タクシー」はありませんが、車がない、運転できる人が近くにいない場合、UberやLyftを使うこともできます。
6.出産後
出産後、入院している期間は日本より短く、経腟分娩では2~3日、帝王切開でも1週間程度で退院します。その間に、新生児に必要な検査・予防接種・K2シロップの投与等が行われます。
また、入院中に病院で新生児の出生証明書(Birth Certificate)とSocial Security Numberを申請することができます。それぞれの申請に必要なため、生まれてくる子どもの名前は出産前に考えておくと良いでしょう。
申請後、数週間で生まれた子の出生が登録され、州・生まれた市・居住している市からBirth Certificateのコピーを入手することができるようになります。戸籍制度のないアメリカでは、Birth Certificadteはアメリカ国籍や血縁関係を証明する重要な書類となります。日本・アメリカのパスポート申請、日本への出生届の提出等、様々な場面で必要になりますので、複数入手しておくとよいでしょう(今後も、必要となった場合に都度入手することができます)。一般的に、オンライン・郵送・直接オフィスに行く等の方法で入手できますが、州や市により申請方法は異なりますので、ご自身のお住まいの州・市のウェブサイトを確認してください。
SSNは申請後、数週間で登録住所に送られてきます。
アメリカで出産した際、日本国籍を取得するには、出生日から3か月以内に総領事館に出生届・国籍留保の届出(出生届についています)を提出する必要があります。提出されない場合、日本国籍が出生にさかのぼって失われることとなりますので、ご注意ください。
出生届と合わせて、在留届に生まれた子どもを追加することも忘れないようにしましょう。
詳細についてはこちら→領事館への届出