転倒の予防


高齢者の転倒の原因

 

外出する機会が減ったり定期的な運動習慣がない場合、自然と筋肉が弱ってしまい、転倒しやすい体となります。特に高齢者は、体を動かさないこと(生活不活発)によるフレイル(虚弱)や、サルコペニア(筋力や筋肉の減少)が進み、身体の機能が低下することがあります。

 

日本における転倒事故の発生率は、 70 歳で 6 %程度ですが、これが 80 歳代になると 18 %にもなります。足の筋力低下 、 年齢とともに皮下脂肪の量が増えて筋肉量が減っていくことが転倒の原因のひとつと言われています。サルコペニアの状態になると転倒のリスクが 3 倍高くなると言われています。

 

これは、高齢者に限った話ではありません。転倒予防のためにも、栄養面や肥満に注意を払い、日頃から体を動かして筋力維持を心がけてみましょう。

 

フレイル(虚弱)とサルコペニア(筋力低下)の予防のポイント

 

①   動かない時間を減らし、自宅でもできるちょっとした運動で筋力アップを心がける

o   座っている時間を減らす

o   立ったり歩いたりする時間を増やす

o   ラジオ体操や運動、自宅でできるスクワット、膝(ひざ)伸ばし、野外での散歩なども良い

 

②   バランスの良い食事をしっかり食べて栄養をつける

サルコペニアは低栄養や肥満が関係しています。(例:急に 体重が 3kg以上 減った→低栄養リスク、 BMI(肥満度) が 25 以上になった→肥満リスク)

 

バランスの良い食事は、免疫力の維持に役立ちます。高たんぱく質の食材(肉、魚、牛乳、チーズ)が筋肉を作ります。食事と運動の併用が、筋力アップにつながります。

 

③   お口を清潔に保ちましょう。しっかり噛んで、できれば毎日おしゃべりを

歯磨きで口内を清潔に保つこと。しっかり三食噛んで食べて、おしゃべりをすることで、お口周りの筋肉を保つことも大切です。鼻歌や早口言葉も効果的

 

④   家族や友人との支え合いが大切!

電話などを使用した交流、困ったと金医助けを呼べる人を考えておくことも不安の解消につながります。



自宅でできる運動   下肢筋力トレーニングの1例

1)膝進展運動(大腿四頭筋)

足首を起こしながら膝を伸ばします。

2)股外転運動(中殿筋)

膝をのばしたまま足を横に開きます。体を傾けないようにしましょう。

3)股屈曲運動(大腰筋)

太ももを高く持ち上げます。

4)足底屈運動(下腿三頭筋)

つま先立ち。余裕があれば、片足で行いましょう。



神戸市「元気!いきいき!!体操」 ゆるやか編

https://www.youtube.com/watch?v=_moRHBaVMM0


宇都宮市 気軽にエンジョイMiya(ミヤ)運動

https://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/movie/chiebukuro/enjoy/index.html

 

参照資料:

■「高齢者として気を付けたいポイント」(日本老年医学会)詳細はこちらから:

https://jpn-geriat-soc.or.jp/citizen/pdf/coronavirus_01.pdf

■「いまだからこそ継続したいフレイル防止」(神戸市・口腔体操や毎日のチェックリスト)

https://www.city.kobe.lg.jp/documents/3608/imadakarakoso.pdf


歩行に問題が生じ始めた時

歩きづらくなったり、転倒やつまずきが増えてきたら、Primary Care Physician (PCP:主治医)に相談をして原因を調べてもらう。大きな疾病が隠れていたり、加齢による筋力や反射神経の低下が原因になっていることもある。

後者の場合は、PCPから紹介されたPhysical Therapist(PT:理学療法士)のセラピーを受けることで、機能を取り戻す可能性がある。機能が戻らない場合は、杖(cane)や歩行器(walker)の正しい使い方の指導を受けることで、歩きやすくなったり、転倒やケガを防げる。自己判断で杖や歩行器を使い始めると、間違った使い方により逆に転倒の危険性が高まるので、必ずまずPCPに相談すること。